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ヘルニアで足が麻痺したダックス用 車いす開発のきっかけ-その1


ランダムカートは大学生の卒業制作品から生まれました。卒業制作とは大学4年間に身に着けた知識や技術を応用して、独自のアイディアをもとにオリジナルの成果物(作品)を制作し発表するもので、通常1年かけて取組みます。
これを制作した学生は工学系の大学で製品デザインを専攻しており、近くに住む親戚の家で後肢が動かないダックスフンドを飼っていたことに着目し、車イスを作ることを思いつきました。最初は一般的によく見られるような犬の身体の両脇にパイプを沿わせた形状の器具を作ったところ、家の廊下の壁や部屋の中の家具に頭から衝突してしまい、すぐに歩くのを止めてしまいました。そこで「家の中は狭いので、小回りが利く車イスが必要だ!」と気づき、それを実現する構造を考えることにしたのです。まずは4脚動物の骨格を調べました。人間も同じですが、脊椎動物は文字通り脊椎=背骨が身体の真中を通り、腰と肩/首の2箇所を中心とする「関節=回転軸」を持っています。回転軸があるおかげで身体を横(水平)方向に曲げて方向を変えていることがわかります。身体の両脇を棒(パイプ)に縛っては身体を曲げることはできません。
「それならば背中部分に背骨パイプを設けその両端の腰と肩があたる部分に回転軸(蝶番)を取り付ければよいのでは?」というアイディアが閃いたのです。早速、実験用の車イスを排水管用の塩ビパイプを曲げて制作し、件のダックスを被験者として試乗させたところ、狭い家の廊下や炬燵の周りを驚くような俊敏さで走り回ったのです。まさに「水を得た魚」のように自由な動きでした。

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